キッタンの思い出あのねちょう

32年間小学校の教師をしてきました。 そのときの子どもたちとの思い出を紹介します。

フレアースカート~愛されて育った子は・・~

 低学年の時に出会った女の子のお話。
 
 「先生、くるっと回ってみて!」とせっちゃん(仮名)。私が珍しくフレアースカートをはいて学校に行った日、彼女は私にそう言った。言われた通りに私が回ると、スカートがふわっと舞った。彼女は喜んで、自分も(フレアースカートではなかったが)くるくると何度も回り、最後には目を回してしまった。とってもかわいいせっちゃん。
 せっちゃんは、休み時間などいつも私のそばにいて、いろいろ話したり、手伝ってくれたりしていた。先生大好き、担任大好きの子だった。私が担任だから大好きなのではなかったと思う。彼女はそのときそのときの担任の先生を大好きになるタイプの子だったのだと思う。出会ったのは低学年の時だったが、たぶんせっちゃんはその後も、学年が上がっても先生大好き(よっぽどのことが無い限り)で育っていったのではないだろうか。それは、先生だけでなく、友だちやその他関わりのある多くの人々を無理なく受け入れることができる、そんな性格のなのではないか、と思わせるかわいらしさ(性格の)を持った子だった。

 きっとせっちゃんは、ご家族など身近な人から愛されて、大事にされて育ったのだと思う。愛さ
れて育った子は、他の人も愛することが自然にできる、とよく言われるが、せっちゃんはそれが本当だろうと感じさせる子だった。せっちゃんのように、周りの人たちを優しく受け入れて、好きになる・・・そのことで多くの人に幸せを届けたことだろうと思う。しかし、それは、本人にも大きな幸せをもたらしたのではないだろうか。
 
 私も、周りの人をせっちゃんみたいに、無理なく受け入れて愛していけたら・・・と思うが、時として難しいこともある。でも、神様がまず私のことを愛してくださった。しかも無条件で。これは否定できないこと。だから、きっと周りの人を愛することができるように助けてくださると・・・信じている。
 
 せっちゃん、今頃どうしているだろう。きっと今でも周りの人たちを信頼し、好きになって、自分も幸せな人生を歩んでいることだろう。
 
※子どもの名前は、仮名です。